『ゆこう』とは徳島県を代表する柑橘である
 すだちと並ぶ、酢みかんです。
 その起源について明らかになっていませんが、
 江戸時代以前に香橙と柚が自然交雑したもので
 あろうと言われています。

 寒さに強いといわれてきた『ゆこう』ですが、
 昭和38年の極東大寒波、昭和43年の大雪害、
 昭和52年の大寒害で枯死衰弱樹が続出し、
 生産量は最盛期の6〜7割まで減少したそうです。
 昔は四国の各地で栽培されていましたが、
 今では徳島県の中でも一部の山間地でしか栽培され
 ていない希少価値の高い作物となっています。

 上勝では明治中期頃には農家の庭先に直径40cm
 ほどもある古木が点在していたそうで、古くから
 自家用の食酢として重宝がられました。

 また、『ゆこう』はお年寄りに愛され保護されてきた
 果物であり、温かくなってみかん気が無くなった頃に
 そっと貯えられていた果実を手渡されて食べた
 甘酸っぱい素朴な味は、どこかお年寄りの愛情を感じ、
 幼い頃の郷愁を覚える果実です。